Column
空気と換気のコラム

矢口 貴志 先生

5.カビを増やさないための対策方法 その①

2020/03/16

カビが好む「温度」「湿度」「養分」を与えない


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 家の中でカビの発生を防ぐには、カビが生育するための要因を取り除けばいいです。
 温度をカビの生えにくい20度以下にするのは梅雨時には無理ですので、カビ対策のポイントは、湿度を下げるための乾燥と栄養源を取り除く掃除になります。
 すなわち、
 
 水廻りでは、余分な水分をふき取り、換気扇を使用したり窓を開けたりして空気の流れを作り換気をよくすること、

 家具と壁との間には隙間をあけ風通しをよくすること、

 屋内でほこりのたまりやすい場所、エアコンのフィルターなどはまめに掃除すること

 が重要です。
 

ハウスダストとカビの関係(ハウスダストとカビが結びつきカビが繁殖するしくみ)

 
 カビは胞子と菌糸で増殖します。
 胞子は植物の種のようなもので、空気中に飛散します。それがある場所に落下、定着し、そこで温度、湿度、栄養源の条件が揃えば発芽し、菌糸(植物の根のようなもの)を伸ばし、さらに胞子を多数作ります。
 
 埃が多くたまる場所として、

 押入れ、家具の裏など空気の流れが悪く、ほこりがたまりやすいところ、

 玄関、下駄箱など外から土、ほこりなどを持込みやすいところ、

 観賞用の植物、鉢植えの土、エアコンの内部、フィルター

 などがあります。


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 ハウスダストというと、屋外の土ぼこりなどと異なり、ほこりの中にダニの死骸、糞、カビの胞子などが含まれる家庭内特有のアレルギーの原因となるほこりをいいます。このほこりが溜まりやすい場所では、カビが増殖してしまいます。
 

効率的なお掃除方法、カビの予防方法

1)換気のコツ

 空気の入口と出口を作るのが基本です。片方だけ開けても空気は入れ替わりません。
 浴室の窓を開けるときは、全開にするより細めに開けた方が、空気が壁を伝って流れるので、隅の方まで換気が出来ます。
 家具は壁にくっつけず、空気が通る道を数センチ開けておきましょう。
 また、扇風機などで空気を循環させることやエアコンの除湿機能を使うのも効果的です。ただ、エアコンの内部は除湿で使用すると湿気がたまりやすく、カビが増えやすいので、使った後しばらく送風にしてエアコン内部も乾燥させましょう。
 
 クロ―ゼット、押し入れは、洋服などを詰め込みすぎず、少し風が通る隙間を作りましょう。
 布団を収納する場合は、すのこ板を使うといいです。除湿剤を使うと効果がありますが、水が一杯にたまったまま放置しないように気を付けましょう。梅雨の晴れ間には、ドアを開けて換気をするといいと思います。
 朝起きた時すぐに布団を押し入れにしまうのではなく、しばらく干してから片付ける方がカビは生えにくくなります。寝ている間に汗をかき、布団は湿っています。
 ベッドをお使いの方も基本的には同じです。掛け布団を半分に折りたたんで、掛け布団、ベットパットの上半身が当たる部分を乾かすといいでしょう。
 
 同様のことが、洋服や靴にも言えます。とくに雨の日に着たコート、履いた靴などは、よく乾かしてからクロ―ゼット、下駄箱にしまいましょう。
  

(つづく)

 


■講師ご紹介

矢口貴志先生

千葉大学 真菌医学研究センター 准教授 博士(工学)

矢口 貴志 先生

早稲田大学理工学部応用化学科卒業。明治製菓(株)を経て現千葉大学真菌医学研究センター准教授に就任。生活環境のカビ、特に病原性のカビを専門に研究。「おはよう日本」「世界一受けたい授業」「林修の今でしょ講座」などテレビ出演多数。
 
 

■矢口貴志先生コラム一覧

1.カビの基礎知識 その①:カビってなんだろう?

2.カビの基礎知識 その②:こんなところにもカビ?

3.カビが原因で起こる健康影響や生活への影響 その①

4.カビが原因で起こる健康影響や生活への影響 その②

5.カビを増やさないための対策方法 その①

6.カビを増やさないための対策方法 その②

 

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