Column
空気と換気のコラム

安達 修一 先生

1.大気汚染はいつどこで起こるの?

2017/03/31

※音声が出ます。

■大気汚染の種類

 ガス状物質と粒子状物質があります。ガス状物質は吸い込んだものがそのまま血液に拡散していきます。一酸化炭素や窒素酸化物、車の排気ガス。でも、今のガソリンエンジンにしても、ディーゼルエンジンにしても粒子状物質は少なくて、ガス状成分、特に一酸化炭素は毒性が高いので血液に入ると一酸化炭素中毒になります。めったにないですが、冬場のスキー場で長時間車を停めている間に一酸化炭素が車に充満して事故で亡くなってしまったり、ガレージに車を停めている間に中毒になってしまったり、無色無臭なので、防ぐのは難しいです。
 粒子状物質は固体ですのでいろんなところに飛び回ります。東京でも20μgとか話が出ますが、今問題になっているのが、西から、大陸の砂漠から発生したホコリ等が、大気汚染の激しい中国の都市部を通ってやって来る「越境大気汚染」が問題視されています。

■大気汚染はいつどこで起こるの?

 黄砂が多いのは年末から3月~5月くらいです。西日本、大阪くらいまで飛来してきます。大きい粒子は沈殿しやすく、遠距離を飛んでくるものは粒径が小さくなります。
 PM2.5は大きさを指しています。海塩粒子、車からも発生しますし、工場から発生することもあります。季節風など気象の影響を受けて、PM2.5濃度が高くなることもあり、いろんな発生源が考えられます。
 室内の空気はコントロールしやすいですが、外気の汚染物質は、多様な発生源が考えられるため、いつ・どこで発生するか特定しづらく、そのため環境基準が作られました。
 日本において大気汚染は改善されてきました。昭和40年代頃と比べても、東京の空はキレイになったと感じられる方もおられると思います。ですが、対策が届かないPM2.5は約10年前から話題になりました。

(つづく)
 
 


■講師ご紹介

安達先生

相模女子大学 栄養科学部長 教授

安達 修一 先生

専門分野は環境保健学。医学博士。埼玉医科大学医学部助手、講師、助教授を経て平成13年4月より現職。日本衛生学会、大気環境学会、日本癌学会等、多数の学会へ所属。環境省 微小粒子状物質環境基準の制定に携わる。
 
 

■安達修一先生コラム一覧

1.大気汚染はいつどこで起こるの?

2.PM2.5は呼吸で体に侵入する

3.PM2.5による健康影響

4.PM2.5の影響を受けやすい人とは?

5.PM2.5等の大気汚染から身を守るために

6.健康に暮らすための空気の重要性

 

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