「水」「食べ物」と同様、「空気」も安全を求める時代へ。
Air & Wellness
空気と健康
カビ・菌
カビや菌は、温度、ホコリなどの養分の条件が揃うと生えやすくなります。
カビが原因で健康被害を及ぼすことがあります。
窓開け換気したい!でもカビは家に入ってきます
カビは本来土壌に生息していますが、風によって運ばれたり、人や物に付着し持ち込まれたりなどで室内に侵入します。
新型コロナウイルス対策として「窓開け換気」「加湿」が推奨されていますが、窓を開けるとカビが外の空気とともに室内に取り込まれてしまいます。
さらに梅雨や夏の季節、湿った空気や暑い空気も取り込まれることで、エアコン効率が悪くなるだけではなく、カビが繁殖するのに好条件の空気環境となります。
目に見えない、体感しないからこそカビ対策は大事です
カビの胞子は非常に小さく(2~5μm)、一般の家庭の空気中には1㎥あたり100から1000個のカビの胞子が浮遊しています。
ハウスダストの中にはダニとともにカビが含まれ、これらの胞子や菌糸の断片が空気中を浮遊します。
人が1日に吸い込むカビの数は、約10000個とも言われています。
部屋干しのにおいは菌が原因
なかなか洗濯物が乾かない時など、生乾きの嫌な臭いを感じることがあります。
これは、主に表皮ブドウ球菌、モラクセラ、酢酸菌などが原因で、これらは通常、ヒトの皮膚、土の中、水回りに生息しています。
カビが原因で起こる健康被害
皮膚など体の表面に起こす炎症
カビを吸い込むことで起こる病気
アレルギー
(喘息、気管支炎、過敏性肺臓炎など呼吸器疾患)
カビが原因で起こる健康被害の一つとして、カビを吸い込むことで起こる喘息や気管支炎など呼吸器のアレルギー疾患があります。 カビによる感染症は、健康な人には感染することはありませんが、免疫機能が低下すると発症しやすくなりますので、なるべくカビに接触しない空気環境を維持することが大切です。
カビを増やさないために
温度
湿度
養分
足場
カビを増やさないためにはカビが好む「温度」「湿度」「栄養」「足場」を与えないことです。
温度20~30℃、湿度60%以上で発生しやすくなり、75~90%で最も増殖しやすくなります。
埃、汚れなどあらゆるもの(有機物)を栄養源にします。
カビは胞子と菌糸で増殖します。胞子は植物の種のようなもので、空気中に飛散します。それがある場所に落下、定着し、そこで温度、湿度、栄養源の条件が揃えば発芽し、菌糸(植物の根のようなもの)を伸ばし、さらに胞子を多数作ります。 押入れや家具の裏など、空気の流れが悪く、ほこりがたまりやすいところが「足場」となります。
家の中でカビの発生を防ぐには、カビが好む上記の要因を取り除くことです。
居住者によるこまめな掃除と併せて、空気中を浮遊するカビを除去する空気清浄機も有効です。
電子式集塵フィルタにより、浮遊カビの捕集効果が確認されたことで、実生活環境においても空気中の浮遊カビ数を空気清浄により減少させる可能性があると期待されます。
監修 矢口 貴志 先生
千葉大学 真菌医学研究センター 准教授 早稲田大学理工学部応用化学科卒業。明治製菓(株)を経て千葉大学真菌医学研究センター准教授に就任。生活環境のカビ、特に病原性のカビを専門に研究。「おはよう日本」「世界一受けたい授業」「林修の今でしょ講座」などテレビ出演多数。