Column
空気と換気のコラム
トルネックス技術部
4.フィルタの捕集効率の表し方の違いについて
2016/06/08
これまではフィルタにもいろいろな種類があることや、外気取り入れに必要なフィルタ性能についてお話ししてきました。今回はほこりをとる性能を表す「捕集効率」というのは、どんな方法で測定していて、何を意味しているのかについてお話しします。
例えばAというフィルタの性能表には「捕集効率90%」と表記されていて、Bというフィルタの性能表にも「捕集効率90%」と表記されていたりすると、一見AとBは同じ能力だと思ってしまいますよね。ところが同じ捕集効率90%なのですが能力が全く違う場合があるのです。どういうことかというと、捕集効率の測り方にはいくつかの種類があって、どんなほこりを捕集する目的のフィルタなのかによって測り方が違っているのです。以下に住宅換気で使われているフィルタの主な二つの測り方について簡単にご説明します。
まず質量法という測り方ですが、比較的大きなほこりを捕集するためのフィルタに適した測り方で、花粉をとる目的のフィルタなどでよく表示されています。フィルタによってどれくらいの質量(重さ)のほこりを減らせるかを評価する方法です。フィルタの上流側からあらかじめ質量(重さ)を量っておいたほこりを流し、次にフィルタで捕集しきれずに通過してしまったほこりの質量(重さ)を量ります。そうするとフィルタで捕集できたほこりの質量(重さ)がわかります。「捕集効率=フィルタで捕集した質量/上流から流した質量」となります。例えばPM2.5に分類される1μmの大きさのほこりと30μmの大きさの花粉で比較すると、花粉の直径はPM2.5の直径の30倍ですから質量は27,000倍です。つまり30μmの花粉1個分と1μmのPM2.5の粒子27,000個分が同じなので、大きなほこりを捕集できれば小さなほこりを捕集できなくても捕集効率にはほとんど影響しませんので、PM2.5など小さなほこりを捕集する目的のフィルタには適していない測り方です。
次に計数法という測り方ですが、タバコの煙とかPM2.5などの小さなほこりを捕集するためのフィルタに適した測り方で、ほこりを大きさごとに分けて、それぞれの大きささのほこりの数がどれくらいフィルタによって減らせたかを評価する方法です。大きさごとにフィルタの上流側の粒子数と下流側の粒子数を数えます。
「捕集効率=1-下流側のほこりの粒子数/上流側のほこりの粒子数」
となります。0.3μm・95%、1μm・98%と性能表に書いてあれば、タバコ煙くらい小さなほこりも95%捕集するし、PM2.5や花粉くらいの大きさのほこりも98%は捕集できるフィルタであることを意味します。
この二つの測り方はどちらが優れているとかではないのですが、ユーザーとして注意したいのは、捕集対象のほこりに対して適切な測り方でフィルタの性能が表記されているかということです。目的が花粉捕集なのか、花粉だけではなくPM2.5も捕集したいのか、もしくはPM2.5よりももっと小さいほこりも捕集したいのかによって、フィルタの性能表示をきちんと確認して選択することが大切です。
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